特別支援学校で見つけた本当の成功体験

人生の迷いを整える

カウンセラーの「さこま 結理(ゆり)」です。

特別支援学校で勤務していた時のことです。

運動会、毎月の集会、大勢の集団に入ると「怖い」と教室の隅で耳を塞ぎパニックで泣き叫ぶ生徒。

学習発表会のスポットライトや大音量に、体が動けなくなる生徒。

教員として何度もそのような場面に直面してきました。

行事は、「全員参加」が当時は当たり前。

そう疑わなかった私が、あるA君との出会いを通して学んだ「行事の本当の意味」のお話をさせてください。

数年前、私が担任していた自閉症スペクトラム症のA君は、強い感覚過敏を持っていました。

運動会の練習で、ピストルの音、大音量のBGMが流れるたびパニックになり自分の頭を叩き、地面に倒れこんでいました。

「経験することが本人のため」と

信じていた私は、イヤーマフを着け泣きわめくA君の手を引きグラウンドまで連れて行きました。

しかし、A君の表情はさらに恐怖にあふれパニックは増すばかりでした。

私のしていることは

「A君の心を守るのではなく、壊しているに過ぎないのではないか・・・」

業後、誰もいない教室で自分の独りよがりに打ちのめされました。

それから私は、A君と向き合い直しました。

「みんなと同じように参加する」という目標を辞め

A君にとっての「合理的配慮」(当時は、まだこの言葉は用いられていませんでした。)とは何かを教職員や保護者と話し合いました。

そして、決めたのは「参加のカスタマイズ」。

スケジュールを視覚的支援で確認し、流れを把握して音の鳴るタイミングを事前に予告する。

・怖い・不安・辛いを感じたら、「クールダウン」できる場所を確保しすぐに逃げ込めるようにする。

・集団活動の場面では、一部分だけの参加を受け止め、集団から離れた安心できる場所で参加する。

それも困難な場合は、他の役割をする。(例えば、放送室で音楽の調整係をするなど。できそうなことにチャレンジする。)

ピストルを電子音に変え、音に敏感な生徒たちが安心できるように環境も整えました。

迎えた運動会当日。

A君はイヤーマフを着け、私の手を引いて自らグランドへ行きました。

集団演技で楽しそうに踊る学級の様子をじっと見て流れる音響に耳を傾け、練習してきた場面が近づいてきたその時でした・・・

A君は、皆から少し離れた自分の場所(安全と安心感を確保できた場所)に向かったのです。

そこには、笑顔で踊るA君の姿がありました。

少し自信にも満ちたような、そんな笑顔にも感じられました。

そして、演技を終えたA君がこちらを振り向いて

「ヤッター」と叫び、ガッツポーズをしたのです!

私も、思わず大きくガッツポーズをし心を通い合わせました。

その様子は、今でも目に焼き付いています。

行事とは「形」が大切なのではない

「その子なりの参加の仕方がある」「自分ならできる」という自信をもつための手段だったということ。

特別支援教育の現場では「普通」という枠が、どれだけ子供たちを苦しめているかに気付かされます。

集団、行事に参加できないことは、決して「失敗」ではありません。

聴覚過敏やパニックという特性を理解し、個に応じた「参加の形」を一緒に作る。

これが将来、彼らが社会の大きな集団の中で、自分らしく生きていくための「自立支援」に繋がると思っています。

もし今、お子さんや教え子さんが苦しんでいるのなら、一歩立ち止まってみてください。

「結果を出させることよりも、まずはその子が『ここにいていいんだ』と心から安心できる場所を作ってあげることが何より大切」です。

その子が安心して笑える場所こそが、その子にとっての「最高のステージ」だと私は思っています。

障がいに関するお困りごと、お悩みなどありましたらご相談ください。